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ムーディーズの格付けには、それほどの威力があり、そのムーディーズが韓国の格付けを、A1からBaa2にまで落したということは、売ってくださいと、ひときわあざやかな売りシグナルを出したことと同じでした。
その結果、韓国の平均株価が、2日で17%も下落し、IMFの救済が、本当にあるかないかの不信などもあって、さらに7%強下落し、韓国は外貨の決済に行き詰まり、国家破産寸前にまでに追い詰められました。
そこで、韓国政府は「為替市場での困難を解消し金融の安定化を図るため」に、IMF(国際通貨基金)に200億ドルの緊急支援を要請しました。
韓国が国家破産を宣言し、IMFの管理下に入ったことを意味します。
IMFの金融支援は、成長率の上限を設定して韓国政府の経済主権を剥奪し、財解体を迫るものでしたが、韓国は受け入れ、鄭周永によって創設された財ヒュンダイ(現代)などの財閥を解体してしまいました。
それまでの韓国は、たしかに韓国財閥企業に対して、金融機関が厳しいチェックを行わないということはありました。
韓国経済においては、銀行に充分な監査権限を与えられていないからです。
中央銀行の韓国銀行を始め、各銀行は人事などあらゆる面で政府の統制を受け、独立性が保障されず、いわゆる「官治金融」状態にあったのです。
そのような経済のなかで、財閥系の企業が放漫経営に陥っていたということはありますが、ムーディーズではじまって、IMFが収拾した韓国の経済危機には、考えさせられるものが多いといってよいでしょう。
韓国の巨大財閥なども、実質的にはアジアの経済危機にともなうIMFの救済措置の過程で、解体されていったので「投資ファンドの使命は、より高いリターンを上げて投資家に配分することであり、投資家は、企業の長期的な経営戦略よりも短期的な利益を志向する」というようなことを、よく耳にするようになりました。
ライブドアやM上ファンドについての報道がなされるたびに繰り返されるフレーズであるといってよいでしょう。
「ファンド資本主義」とは、このような考え方とそのうえに立った活動ですが、日本もそのような社会になるのかと思われましたが、そうスンナリとはいかないようです。
ライブドアが利用した時間外取引については、よい悪いは別にして、あの時点では違法性はなく、証券取引の抜け穴であり、盲点でした。
M上ファンドがニッポン放送株などを大量取得したときも、よい悪いは別にして、すぐに情報を開示する必要はありませんでした。
機関投資家が上場企業の5%超の株式を取得した場合には、あの時点では、最長3カ月半まで、大量保有報告書を提出する義務はなかったからです。
これも、抜け穴であり、盲点でした。
そのため、いまは大量保有報告書の提出期限は、3カ月半以内から3週間以内に短縮されています。
また、金融商品取引法も、風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載などの違反は、商法の特別背任罪などと同じように「懲役3年以下または罰金1000万円以下」とするなど、罰則が強化されました。
インサイダー取引については、証券取引法に定められていて、M上ファンドのM上世彰代表が、東京地検特捜部に逮捕されたのは、ニッポン放送株取得に関する証券取引法違反容疑でした。
米証券取引委員会(SEC)も、ファンドの影響力監視を強化し、運用資産2500万ドル以上で顧客が17人以上いるヘッジファンドの運用業者に対し、SECへの登録を義務付けるようになりました。
英国でも、ファンドの運用責任者は、英金融庁の投資運用業か投資助言業の許可が必要となりました。
M上ファンドは、投機を繰り返すことにより、資金規模が約4000億円にまで膨れ上がっていたそうです。
これくらいの資金となると、国内だけからとは考えにくく、日本のファンドにも、巨額の余剰資金が、海外から短期間に集まる時代になったことを示していました。
それと同時に、約4000億円の資金を、「より高いリターンを上げて投資家に配分する」ということは、大変なことであり、これからが胸突き八丁であったともいえるでしょう。
小規模の資金ならば、効率よく運用することによって高いリターンをあげることは、さほどむつかしいことではありませんが、資金規模が大きくなると、株を目標値で売ることだけでも、大変な作業となります。
大量の株式を売ると、それだけで株価が大きく下がるからです。
ライブドア、M上ファンドについては、すでに結論めいたものが出た格好になりましたが、日本における「ファンド資本主義」がこれで終わったとは考えにくいのではないでしょうか。
やがて形をかえて、登場してきそうな気がします。
前著『超・資産運用』を刊行したのは、2005年3月でした。
その本のなかで、わたしは次の2つのことを予測しました。
2つとも、見事にあたったと思うのですが、いかがでしょう。
2005年春は、バブル崩壊後の日本経済が1つの転換期を迎えたといってよいでしょう。
大手銀行の不良債権処理もずいぶん進み、上場企業の8割近くの業績も上向いていて、3月期決算で史上最高益を出した企業も少なくありませんでした。
そのいっぽうで、中国への依存が加速するなど、気になる傾向もあらわになってきています。
しかも、中国政府の行き過ぎた愛国心教育により、中国人の若者から中年にかけての世代の対日感情の悪化がピークに達したかのようで、各地で大規模な反日デモが見られました。
鉄工から造船まで、いわゆる重厚長大産業は、軒並み経常黒字を出しましたが、それも中国あっての結果であるといわざるをえません。
中国側との契約は、3年くらいの長いタームで交わされるものが少なくなく、本当にこのまま成功に結びつくかどうかは、まだ分からないと見ておいたほうがよいでしょう。
チャイナ・リスクは、中国に進出した日本の企業を襲うだけとは限りません。
たとえば、中国の自動車生産台数は、2010年には1070万台を超えるという試算があります。
そのときの中国のGDPは718兆円に達しているはずなので、日本が依然として低成長を続けていたならば、そのあたりで日本経済は中国経済に追い抜かれることになります。
2010年の中国のGDP718兆円は、日本のどこかの機関の予測ではありません。
中国政府が打ち出したものであり、2010年に日本のGDPを超えるための数値目標であるといってよいでしょう。
この数値目標が実現する可能性は高いのですが、中国の自動車生産台数が1070万台となり、中国のGDPが日本を抜いたからといって、中国の開発・製造した中国製自動車が、日本市場を荒らすようなことにはならないでしょう。
トヨタ、本田、日産などの日系の大企業が、中国から日本に対して輸出攻勢をかけてくることになり、いまアメリカが頭を痛めている深刻な対中貿易赤字の日本版となるに違いありません。
アメリカが、17%以上の元の切り上げを要求し、円、ユーロを含む通貨バスケット構想を打ち出していたことは、わりあいに早い時期に伝えられていました。
しかも、このテーマについて、キッシンジャーが動いていたので、私は、かなり早い時期に切り上げられるに違いないと読んでいました。
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